MENU

福井隆雄 研究室

福井隆雄 准教授

福井隆雄 准教授

認知科学/視覚運動変換過程/運動生成と行為知覚/到達把持動作/三次元動作解析

ヒトの知覚・行動特性について認知科学的アプローチで研究を行っています.主な研究課題を以下に挙げます.


1. 到達把持運動の視覚運動変換過程における運動学的検討

対象物に手をのばし,つかむという到達把持運動は日常的に見られる動作ですが,その実現にはさまざまな処理過程が関与しています.到達把持運動において,自己の手腕の見えの利用は,外部環境情報(対象物体の見え)の利用可能性により柔軟に調節されます(Fukui & Inui, 2013).また,ヒトは,物体がそこにあるかのように想像して運動を行うこと(ふり運動,パントマイム運動)も可能ですが,その運動学的特性は,実物体への運動と異なることが知られており,これは,脳内情報処理の違い(腹側経路と背側経路)を反映していると考えられています.我々は,パントマイム運動におけるオンライン視覚の利用特性を検討し,背側経路と腹側経路それぞれの関与の可能性を指摘しました(Fukui & Inui, 2013).

図1.日常的動作の1つである到達把持運動.近年は,脳損傷患者さま,自閉スペクトラム症者の方にもご協力いただいています.

2. 習慣的動作における潜在的運動制御

我々の行動は,適応的で合目的的と信じられていますが,そうでない場合がありえます.例えば,停止エスカレータに乗り込む場合,「停止している」という意識的知覚があるにも関わらず,ぎこちない振る舞いになってしまいます.この乖離の原因を探るために,停止エスカレータ乗り込み時における運動特性と違和感評定を検討し,停止しているという意識的気づきと潜在的に駆動された(文脈には適合しない)動作の乖離によって,違和感が発現したことが示唆されました(Fukui et al, 2009).また,自己の行為知覚において,潜在的に生じた内的な感覚運動情報が優位な情報であるとともに,自己運動に関連のない外的刺激により,行為知覚が調節される可能性を示しました(Fukui and Gomi, 2012).

図2.停止エスカレータ乗込み動作と違和感.

教員一覧へ戻る